現代ビジネス
今、YouTubeの「【アニメ】あたしンち公式チャンネル」にて、TVアニメ『あたしンち』が無料配信されているのをご存じだろうか。チャンネル登録者数は2022年1月に60万人を突破し、数百万回という再生回数を記録する動画も数多くある。
けらえいこ先生の漫画が原作である本作は、誰もが親しみやすい日常系コメディ作品。2002年にTVアニメ化され、2009年の放送終了から実に10年以上の月日が経つが、今なお深く愛されていることが、YouTubeの動画再生数やコメント欄に寄せられたアツい声からも見て取れる。
さらに動画にはすべて英語字幕付きで、グローバルな人気も獲得しているという点にも注目だ。そこで今回は、アニメの制作会社・シンエイ動画のYouTubeチャンネルを担当されている、杉山登氏と宮澤英太郎氏にインタビュー。『あたしンち』が今なお幅広い層に愛されている理由を伺った。
あえて無料でも楽しんでもらいたい
現在でも共感できるポイントが多いアニメ『あたしンち』(シンエイ動画提供)
まず、両氏に「【アニメ】あたしンち公式チャンネル」を現在の形式でスタートした経緯について聞いていこう。
「『あたしンち』はテレビ朝日系列のゴールデンタイムでかなり長いこと放送していました。ですからたくさん素材があったんですよね。すごくいい原作だし、自分たちで言うのもなんですが、アニメーションとしてよくできていると思うんです。だからこそ今の人が見ても面白いはずだし、せっかくなら何らかのかたちで“甦らせたい”というか、人気をもう一度復活させたいと考えていました。
また、『あたしンち』を地上波で楽しく見ていた層が、割とYouTubeのアクティブユーザーと被るのではないかと予測を立てていたので、『これは結構バズるんじゃない? 』という予感が当初から肌感覚としてありました。そういった経緯で、とりあえずチャレンジしてみることになったんです」(杉山氏)
「YouTubeチャンネルのアナリティクスを見ると視聴層の7割は13歳から34歳なので、当初の見立ては合っていたんじゃないかなと、今振り返るとそう思えますね。
『あたしンち』は、例えばNetflixさん、Amazon Prime Videoさんといった映像配信サイトに今出させていただいても、恥ずかしくないポテンシャルを持つアニメーションだと思います。ですが、せっかくネット配信をするならば無料で楽しんでいただきたい。だからこそYouTubeを舞台に取り組んでみようと企画しました。あとは、もしかしたら海外の方々にもリーチできるのではないか、という期待もありましたね」(宮澤氏)
現在、『あたしンち』はU-NEXTやdTVといった有料動画配信サービスでも観られるが、こうしたプラットフォームでの配信とYouTubeチャンネルはどう差別化しているのだろうか。
「基本的には、YouTubeは動画を常設しておくということがなかなかできないので、再生数上位の数話を除いたそのほかの動画はあくまでも期間限定公開という方式をとり、特別感を演出しています。
例えば、テーマに沿った本編をダイジェストにまとめて公開したり、オープニングテーマの動画を単体でアップしてみたりなど、工夫していますね。というのも、原作のけらえいこ先生から、『せっかくやるなら特別感のあることをやってほしい』という御達しをいただいているので、そういった部分には注力しています」(宮澤氏)
「実は今回の『あたしンち』の配信は、シンエイ動画としてYouTubeチャンネルを始めた第一弾作品なので、独自の展開や運営ができたのもメリットだったと思います。それでは自信をもって出せる『あたしンち』ではどういう結果が出るんだろう、とワクワクしながらやってみたところ、自分たちが想定していた以上に幅広く受け入れてもらえたというわけです。
YouTubeでの展開は今後も肝になってくる予感はしておりますので、うちとしてはいいチャレンジになった作品だと感じています」(杉山氏)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c941655ff28d152a5c56c98a0065022e2c70e32c
最初は辛抱して観てくれ